今回は文脈を読むことの落とし穴という話をさせていただきます。
文脈を読みなさいという言葉は、皆さんよく聞いた事があると思います。実際にこれができると凄いですし、仕事ができることに繋がると思います。
しかし私は文脈を読むという行為には大きなリスクがつきまとっていると考えております。読んだ文脈について都度確認を入れるというプロセスを踏んでいるのであれば有効になりますが、もし確認をせずにこうだろう問いという考えで物事を進め、終盤に最終チェックのつもりで確認したら文脈を読んだつもりの回答が誤っており、大幅な手戻りを生むという事故につながります。
また別の例として、文脈を読むという癖そのものが人の信頼を損なうというケースもあります。文脈を読むを言い換えると、1を聞いて10を知るだと思います。これも社会人になると求められるようになりますよね。実際これは意識すると段々できるようになってくるため、成長を感じて嬉しくなったりもするかと思います。しかしこの1を聞いて10を知る成功体験が、事コミュニケーションにおいてはマイナスに働きかねないという事です、
1を聞いて10を知るという思考の癖は、1を聞いて10を聞いたつもりになるという悪癖を生みます。これが相談事の場合だと、1を聞いて10を聞いたつもりになった後に何をするかというと、聞いたつもりの10に対する返しを頭の中に用意するようになります。例えば春ごろに「最近仕事が楽しめてなくて、凄く出勤が苦しいんですよね。」という相談を聞いたときに、真っ先に五月病かという10の解釈をしてしまい、その後五月病の人に対して今までに言ってきたキラーワードを言おうという状態になるというケースなどが考えられます。
上記の例でわかると思うのですが、この時の聞き手というのは相手の話など一切聞いていないんですよね。わかった気になって相手の話に関係なく返す言葉が決まっています。このことが話し手にバレると、悩みを話してくれた相手の信頼を裏切る事になります。そりゃあ自分の話をろくに聞かない人なんて二度と話したくないですよね。相談する人間というのは極端な話、解決しなくてもちゃんと聞いているという事実がわかるだけでも多少は救われるものであったります。
文脈を読むというのは絶対にやらなければならない事なのですが、それはあくまでも確認作業の足がかりとしておく方が良いと思います。漫然とこれ教えてくださいと言わずに、これはこういう意味であってますかという主体的に考えて質問しているという印象を与えるための手段ですね。くれぐれも1を聞いて10を聞いたつもりになって目の前の話を聞かず言いたいことを返すモンスターにはならないようにしたいですね。
今回は以上となります。
コメント