歴史を追え

本日は個人の価値観の根拠や背景は歴史を追えば見えてくるのではないかという話をさせていただきます。

令和に入ってすぐのころだったでしょうか。トヨタの社長が「長期雇用を行う企業に何かインセンティブがないと、終身雇用を守ることは難しい。」との意見を述べたことが話題になりました。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/051400346/

私の主観としては終身雇用への信頼感は既にない状態だったのでまあそうだろうな程度の感想しかなかったのですが、どうやらそれなりの反響があったようですね。
終身雇用は日本の歴史で見れば、長い歴史のうちわずか60年ほど維持された程度の異常事態と捉えるべき事象かと思うのですが、現在新卒の親や上司世代はこの幻想を信じている人が多いように感じます。

例えば学校教師が勉強をしない人にそんなんじゃ社会でやっていけないといったり、社会不適合者という言葉をいまだに侮蔑の言葉だと思っていたり、いまだに新卒で入った会社は3年は続けた方が良いといわれていたりなどの事実から見て取れますね。

長くなるので今回は省きますが、上記は全て年功序列と終身雇用が保証された社会においてのみ正しいといえる内容なんですよね。

なんで終身雇用なんていう共同幻想を信じているのかなとしばらく考えていたのですが、おそらくちょうど社会人になってから今日までの生涯年表が終身雇用制度の期間にすっぽり収まっているためだと考えられます。
それがない時代を知らないから、ない未来の想像がつかないというようなことですね。

これ別の話として思い当たる節があり、物心をついたタイミングがバブル崩壊以降の世代の場合、日本はもうお先真っ暗だという考えが蔓延っているんですよね。
これについても、日本の景気が生まれてこの方上向いていた経験がないため、景気が良くなる未来が想像できないという理屈で説明がつくかと思います。

今回の結論としては、人間の価値観は個々人が生まれながらに持っているものというわけではなく、生きてきた歴史、環境におおよそ定められてしまうという事です。

これは結構活用できる要素があると思っていて、逆に言えば私たちは歴史を学ぶこと自分とは異なる価値観を持つ世代の思考がどういった歴史に基づいて形成されたものなのかを理解できるという事になります。

相手の価値観形成の根拠がわかれば、次は自身の価値観形成の根拠を説明できる状態になることができます。納得するかはともかく、立ち位置を明確にすることで、世代間対立といった解決できない問題にすることなく、互いの立場を前提とした妥協点の探り合いができるのではないでしょうか。

本日は、個人の価値観を理解したければ歴史を追えという話をさせていただきました。

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